彫刻のような佇まいが空間に静寂を呼ぶ
綿生地の両面をラミネート加工した、端正な四角いシェード。同じく方形の台座を組み合わせたその姿は、気高い彫刻を思わせる。
確かな存在感が空間に「定点」をつくり、日常をより安らかなものにしてくれる。 リビングのソファ脇、あるいは和室の片隅に置くのもいい。ただそこにあるだけで、空間の質が変わり、穏やかな気持ちになれるはずだ。
ケヤキの無垢材が放つ豊かな表情と安定感
土台となるのは、一辺175mmのケヤキの無垢材。重量のある木塊としての安定感と、力強くも美しい木目の表情が、暮らしの風景を整えてくれる。
ファブリックを透かして広がる柔らかな光と、無垢材が落とす深い陰影。そのコントラストもまた、この照明が持つ美しさだ。
重心を下げることで自分だけの視座が生まれる
四角スタンドのなかで最も大きなこのモデル(W300×D300×H400mm)は、床に直に置くことでその真価を発揮する。
光の重心をぐっと下げることで、空間に心地よい「溜まり」ができ、そこには確かな視座が生まれる。日々の暮らしを慈しむ拠り所になる灯りだ。
長く使える素朴な照明器具『KECKシリーズ』
それまでの白熱灯や蛍光灯からLEDに変わったことは、照明の大きな革命であった。色合いも良くなり、様々な形態の照明のあり方が提案され、何より省エネに貢献し、夏暑くないのは本当に喜ばしいことだ。
しかし問題もある。照明器具のつくりがテクニカルで複雑になり、球が切れたら器具ごと交換しなければならない。例えば住宅のLEDのダウンライトもやがて球が切れたら素人では交換はできず、プロの電気屋さんに器具ごと取り替えてもらわなければならない。
器具自体非常に高価で、また日進月歩である世界なだけに、数年後同じような形質の器具が存在していて、本当に無理なく取り替えできるかどうかはわからない。
格好がよくてハイテクなものは、住まいや建築という長い時間のスパンと折り合いをつけることが難しく、最先端のものが建築に大量に固定され組み込まれていれば、建築自体の耐用年数も縮めることになるかもしれない。かつてのセントラルヒーティングのように。
そんなことから素朴で長く使え、そしてそんなに高価ではない照明器具をデザインして作り続け、使い続けている。長いお付き合いの大阪で照明器具を製造しているKECKと二人三脚で手作りで器具を作り、今までにペンダント照明を4〜5種類、スタンド照明を2〜3種類をデザイン、製品化してきた。
いずれも素朴で原始的なつくりなので、LEDの球が切れたら簡単に交換ができる。球の入手もおそらく数十年後も難しくないだろう。
またスタンドの台座は、他にはない吉野の無垢のケヤキ材である。長いテーブルをくまなく照らすことのできる、軽くて素朴な長いペンダントライト照明は、実は他にあまり存在していないように思う。つまり自分自身とても重宝している。
建築に組み込まれていなければ、もしかしたら素朴な照明器具は建築よりも長生きできる可能性もある。新しい家に簡単に持っていけるからだ。
出会いから十数年。
堀部安嗣氏がデザインした「灯り」の販売をスタート
2012年、1本の電話から、堀部安嗣氏と「ekrea Parts」の母体である参創ハウテックとの歩みは始まりました。
以来、都内の住宅、マンションリノベ、軽井沢の別荘…、施工を請け負った件数は優に十を超えます。数多くの現場を通じて堀部建築の真髄に触れた経験は、私たちにとって大きな財産となり、深い信頼関係を築き上げてきました。
そうした経緯から、この度、新たなプロジェクトがスタートしました。それは、堀部氏の手がけた小さな建築“照明”の販売です。
堀部建築において、家具や照明は建物と切り離せない不可欠な要素。空間のサイズ感や素材感を追求して生まれた灯りは、まさに堀部建築の結晶。住まいに新たな〝場〟が生まれ、暮らしの記憶に深く刻まれる灯り。どうぞ、あなたの手でその質感をお確かめください。
堀部 安嗣(ほりべ やすし)
1967年、神奈川県横浜市生まれ。住宅設計を軸に、店舗、美術館、客船など多岐にわたるプロジェクトを手掛ける、日本を代表する建築家。
その土地の風景に静かに寄り添い、住まう人が本質的な心地よさを享受できる「場」を生み出す設計手法は、多くの人々を魅了し続けている。
2002年「牛久のギャラリー」で第18回吉岡賞を受賞。2016年には「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞(作品)を受賞するなど、受賞歴多数。