木製床ガラリ「エアトオル」の特許技術を紐解く

木製床ガラリ「エアトオル」の特許技術を紐解く

床ガラリの風量は温度差による熱上昇気流とガラリ本体の形状により発生する風速による流量係数に依存します。

床下と室温が定常状態になると、上昇気流は起こらず、形状による流量係数が支配的となるため、その時々刻々の室内環境の室温の推移を想定して、必要最低限の床ガラリの設置個数を導き出す事が必要になります。

なお、流量係数とは、ベルヌーイの定理及びエネルギー保存則から導き出される開口部の形状により決まる係数であり、圧力差によってどのくらいの流量が発生するのかは開口部の3次元的な形状に依存するため、圧力差によって生じる流量をシミュレーシ ョンや実験等で算出又は計測することで流量係数を求めることが可能です。具体的には、ベルヌーイの定理により下図に示す断面1、2間で損失がないとした場 合、エネルギー保存則から、次式が成り立ちます。

P1,P2:断面1,2の圧力[Pa]、v1,v2:断面1,2の速度[Pa]、 ρ:(空気の)密度[kg/m3]、g:重力加速度、h:断面1,2の高低差[m]

断面積を乗じるだけで換気量を求められることから、前式を断面1,2の速度差(流量)vの式に当てはめ、断面1,2の圧力差ΔP=P1-P2、1/√ζ=α(流量係数) とおくと次式となります。

この式を用いて、床ガラリで隔てられた床下空間と室内の圧力差及び空気の流量をシミュレーションで算出又は実験等で計測することで流量係数αを算出することが可能になります。このようにして、床ガラリの流量係数αを算出した。床ガラリは、上下方向に空気を送るものであるため、本来は高低差が関係してくるが、流量係数αを求めることにより、床ガラリの形状による換気効率や暖房効率へ及ぼす効果の指標となり、実施設計時において必要最低限且つ適材適所に計画することができます。

参創LABO 責任者
東京理科大学大学院 工学研究科
阿式 信英