プレスト(後編)

〈シリーズ_造作で住まい手の暮らしをかなえる人々36〉
「設計力と細やかな造作で、住まい手が心地よく暮らせる『木の家』をつくる」(後編)
株式会社プレスト(Presto) 代表取締役 寳川脩平さん

スタッフと基本プランの打ち合わせ中の寳川さん

引き続き、兵庫県姫路市で評判の工務店「プレスト」が手がける家づくりの魅力をレポートします。

前編では、代表の寶川脩平さんが考える、「いい家をつくるための7つの大事なこと」と、その設計思想から生まれた事例を2軒ご紹介しました。

後編となる今回は、プレストならではの住まいの細部に宿る、造作の数々とその使い勝手のよさをレポートします。

前編はこちら

日々の暮らしが愛おしくなる、大工の手仕事が宿る家

こちらは若いご夫婦と2人のお子さんが暮らす、延床面積41坪の住まい。

外壁の「シラスそとん壁」や室内の吉野杉の無垢床、県産材の梁や柱、調湿性に優れた「湯布珪藻土」の壁。プレストが厳選した心地よい自然素材に包まれた、温もりあふれる住まいです。

吉野杉の無垢床に湯布珪藻土の壁、自然素材に包まれたLDK

「平屋のように暮らしたいというご希望を受けて、1階で生活が完結しつつ、2階に将来は子ども部屋として使えるフリースペースがある、1.5階建てのようなプランを提案しました。また、ご主人はご自宅でお仕事をされるため、玄関の近くに土間の書斎スペースを設けています。仕事が終わって靴を脱ぎ、室内に上がれば、自然とONとOFFを切り替えられる住まいです」(寶川さん・以下同)

キッチンやダイニングにいても、木に包まれた気分に

LDKには、随所に手触りがよく愛着が深まっていく造作が施されています。

杉幅はぎ材を張ったキッチンは、大工の手によるもの。Ⅱ型プランの壁側(コンロ側)の先には、子どもたちのリビング学習にも活躍しそうなカウンターを設けました。

リビングの一角に、おこもり感のある心地よい「場」が

対面キッチン側(シンク側)に立つと、その視線の先には、壁にすっぽりと埋め込まれた木製のボックスが。

木の温もりに包まれた小さな秘密の部屋のような空間には、自然と子どもたちが集まり、お母さんと一緒に絵本を読んだりおしゃべりを楽しんだり…。

リビングの一角の壁に程よいおこもり感のある、心地よい「場」が生まれました。

フレックスシンクでつくった洗面台

こちらの家の洗面台は、ekrea Partsの「フレックスシンク」ハイバックタイプを使った造作です。

幅は1586ミリ。幅600ミリから1800ミリのなかから1ミリ単位でオーダーできるので、納まりを考えてこのサイズに。そして下台には、事前に選んだ持ち手付きバスケットがすっきり納まるよう、高さを合わせた棚板を設けています。

木枠のミラーや収納もすべて造作

洗面台の前には木枠のミラーと、小物類を収納するボックスを造作。既製品ではかなえられない、木の家にふさわしい洗面台になりました。

ランドリールームにはアイアン物干しハンガーを設置

ちなみにこちらのお宅のランドリールームには、ekrea Partsの「アイアン物干しハンガー」が使われています。 洗濯機から取り出したら、0歩で干せる場所に設置。家族の居場所だけでなく、家事の手間を軽減する工夫もある家です。

自然素材に包まれた空間に、暮らしに合わせて一つひとつ丁寧につくられた造作の数々。そこには、住まい手が日々の時間を愛おしみながら、心地よく暮らせる工夫が息づいています。

洗面台の標準仕様はフレックスシンクを採用した造作

下をオープンにして、幕板の左右に収納ボックスが入るスペースをつくった洗面台

プレストは、キッチンや洗面台、収納、時にはダイニングテーブルに至るまで、設計する住宅に合わせてさまざまなものを造作しています。

「昔の建築家は、家に関わるものすべて図面を描いてつくっていましたよね。そうしたことを我々が引き継いでいかなければいけないと思っているんです。それに、空間に合わせてつくり込んだほうがいいと、シンプルに思っています」

フラットタイプを使った、無垢の木床に馴染むホテルライクな洗面台

なかでも洗面台は、ekrea Partsの「フレックスシンク」を標準仕様として採用しています。

「1軒1軒、丁寧に設計すると、納まりのいい洗面台の幅は違ってきます。フレックスシンクを使えば、ミリ単位でオーダーできる。私たちには下台をつくるノウハウはありますから、天板が届いたら工事もスムーズに進みます。そこが標準仕様化したポイントですね」

浴室に行く廊下の長さに合わせてつくった洗面台

その話を聞いて施工事例写真をみると、1つとして同じ洗面台はありません。

1800ミリ近い長い洗面台を使い、左右のスペースをたっぷり取ったもの。前面のミラーキャビネットの背後にシックな壁紙を貼り、下台は床の色味に合わせたホテルライクな洗面台。

そして、上の写真のような居室と浴室をつなぐ通路スペースの幅に納めた洗面台など、サイズもテイストも様々です。

横に洗濯機がすっきり納まる幅でつくった、ハイバックタイプの洗面台

近年、洗面室はランドリールームとしての機能も持たせたいという要望が多くなってきています。

限られた壁の幅に洗面台と洗濯機を置こうとすると、微妙なすき間ができてしまうことも少なくありませんが、フレックスシンクを使うことで、この問題もすっきりと解消できます。

扉付きの収納とアイロン掛けにも使える広いスペースを確保

また、写真のように洗面ボウルを片側に寄せ、洗濯物をたたんだり、アイロンがけをしたりする作業スペースを確保することも可能。

事例写真を通して、既製品ではなかなか実現できない、洗面台に関する住まい手の要望を的確にかなえてくれていることがよく分かりました。

最後に、寶川さんに今後の目標を聞きました。

「父から学んだプレストのやり方を変えずにいこうということです。『木づくりの家』を軸に、新しいものは取り入れつつ、大きくは手を加えず、設計し続けていこうと思っています」

前編でご紹介した「いい家をつくるための7つの法則」、そして今回お届けした素材と造作への想い。木と手仕事の温もりに包まれた空間で、家族がそれぞれの時間を慈しみながら暮らしを紡いでいく――。プレストが手がける住まいには、そんなかけがえのない日常が静かに息づいています。

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