家族と一緒に成長し、いつかアンティークになる家具を作っていきたい

〈シリーズ_造作で住まい手の暮らしをかなえる人々16〉
「家族と一緒に成長し、いつかアンティークになる家具を作っていきたい」
CAFE DE BLANC 大森陽介さん 陽子さん

大森陽介さん、陽子さん(ショップの前で)

今回ご紹介するのは、大森陽介さんと陽子さんが運営する、岡山県倉敷市にある小さな家具工房「CAFE DE BLANC(カフェドブラン)」です。

パイン材やオーク材を使ったハンドメイド家具は評判を呼び、全国からの注文が舞い込んでいます。

その原点は、幼いわが子のために作った「ままごとキッチン」。家族とともに成長してき、いつか素朴なアンティークになる家具を作っていきたい語る造作への想い。そして、ekrea Partsのオーダーステンレス天板を使った、新たな家具製作の取り組みを取材しました。

きっかけは、子どもに作った「ままごとキッチン」

ショップの入り口。両開きの扉は大森さんが製作した

CAFE DE BLANCは、夫婦ふたりだけで運営している家具工房です。家具を製作している大森陽介さんは、元アパレル関係の会社のサラリーマン。

  

それが、まったく畑の違う家具職人になったきっかけは、生まれた子どものために作った1台の「ままごとキッチン」でした。

今も人気のパイン材で製作した「ままごとキッチン」

「今から20年くらい前の話です。以前、妻が勤めていた会社の先輩が、うちに遊びに来てくれたんです。ままごとキッチンを見るなり〝これかわいいから売れるよ!売ってみたらいいのに〟と言ってくれたんです。その一言に背中を押され、ネットオークションに出品しました。すると、注文が舞い込み、昼はサラリーマン、夜は実家の納屋にこもり家具職人という生活が始まりました(笑)」(陽介さん)

要望を聞き製作するので様々なタイプが(右はマルシェ棚)

その後、わが子にもお絵かき用のテーブルやイスを制作。ネットに上げると次々と注文が入り、製作するアイテムも売り上げも増えていきました。

学習机は当初からの人気商品

さらに、買ってくれたお客さんから、子どもが大きくなったので、今度は学習机を作ってくれないかという注文が入るように。

お客さんの要望で、製作するアイテムが増えていき、オリジナルの大きな家具も作るようになっていきます。

人気ブロガーの投稿で注文が急増し、家具の道一本に

ナチュラルなパイン材のダイニングテーブル

製作する家具のレパートリーが増えても、なんとか昼間はサラリーマン、夜は家具職人という生活が続きます。しかし、その状況が一変する出来事が!

「ある日、突然、大量の注文が入ったんです。あとから分かったことですが、お客さんの中にブログの女王と言われている人がいて、写真をアップしてくれたことが理由です」(陽介さん)

寝る間を惜しんで作業しても、納期が2年後という状況に。2012年、ついに会社を辞めて、家具製作一本でやっていこうと決意しました。

オーク材で作った棚板もガラスのキャビネット

会社を設立することになり、社名はCAFE DE BLANCに。

「その頃はカフェ風のインテリアがブームでカフェっぽい家具が好きな人が多かったんです。そこで、〝カフェに置いてあるような白い家具〟が思い浮かぶ名前にしようと、この社名に決めました」(陽子さん)

お客さんに育ててもらいながら、家具職人として成長してきた陽介さん。本格的にハンドメイド家具の製作に取り組んでいきます。

キッチンカウンターが会社の危機を救ってくれた!

現在は自宅のガレージを改装して作業場に

しかし、会社を設立し順調に進んでいくかと思われたのもつかの間、いきなり先行きが怪しくなります。

「カフェ風のインテリアブームが下がり始めたんです。当然、注文も減りました。世の中ではそれに代わって、ちょっと男っぽい家具の人気が高まっていきました」(陽子さん)

大きな造作家具も一人で作り上げる

しかし、この厳しい状況も、思ってもいなかった家具の注文が入ったことで打開されます。

「キッチンカウンターを作ってほしいいうお客さんが現れたんです。それを試行錯誤して作ってみたら、すごくカッコいいキッチンカウンターが完成し、お客さんも喜んでくれました。それだけでなく、ホームページに載せた写真を見て、注文が入るようになったんです」(陽介さん)

陽子さんも「あのキッチンカウンターの注文がなかったら、今の私たちはなかった思います」と振り返ります。

陽子さんが作った端材を利用した物や雑貨も人気

子どものために作った「ままごとキッチン」から始まった家具製作は、カフェのような雰囲気を醸し出すパイン材、ちょっと男っぽくてモダンな空間にも合うオーク材、注文ごとに2つの材を使い分けることで、コンスタントに全国から注文が入るようになったのです。

オーダーステンレス天板との出会いが新たな可能性に

今回製作したステンレス天板のキッチンカウンター

CAFE DE BLANCの人気商品を伺うと、1位は「ままごとキッチン」。決して安いものではありませんが、おばあちゃんが孫に買ってあげたいというニーズも多いそう。

そして、2位は会社設立直後の危機を救ってくれた「キッチンカウンター」。実際、ホームページを見ても、オール引き出しもの、レンジスペースや炊飯器用のスライド棚付きのものなど、様々なタイプの写真が掲載されています。

そのなかに今回、ekrea Partsのオーダーステンレス天板を使って制作した、キッチンカウンター(写真)が加わりました。

オークの色合いとも馴染むステンレス天板

「キッチンカウンターの注文で、天板をステンレスにしてほしいという声が増えてきました。わが家を建ててくれた工務店さんに板金屋さんを紹介してもらい見積もりを取ったところ、思ったより高くて。それでも諦めきれず、ネットで検索したところ、ekrea Partsにたどり着きました」(陽子さん)

こちらのキッチンカウンターは全長3330mm。今まで製作したなかで、いちばん大きなものだそうです。

天板と家具はいったんショップで組んでみて、それからお客さんの元へハイエースで運搬。ステンレス天板もギリギリ詰め込めました。

「納品先が2階だったのですが、せっかく使うのに2分割するのはもったいないじゃないですか。工務店にも確認して私たちとお客様とで、ベランダから吊り上げました」(陽子さん)

設置したステンレス天板のキッチンカウンター

そして設置したのがこちらの写真。吊戸棚も大森さんが製作したものです。

「注文を受けたときに、壁に下地を入れておいてくださいとお伝えし、納品時に設置しました」(陽介さん)

写真をよく見ると、ステンレスカウンターのキャビネットの順番、ゴミ箱を置くオープンスペースの位置が、納品前に取った写真(1つ上の写真)と変わっています。臨機応変に設置できるのも、造作家具ならではです。

「注文時は奥さまとのやり取りが多いんですが、お届けすると初めて見たご主人が〝おっ、カッコいいなぁ〟と言ってくれます。それを聞けると〝やったー〟と思います。これからステンレス天板のキッチンカウンターも増えていくと思います」(陽介さん・陽子さん)

お客様からの注文に応え進化してきたCAFE DE BLANCの家具。ekrea Partsのオーダーステンレス天板と出会い、これからどんな家具が誕生するか楽しみです。

表示件数
並び替え